平成21年度日本材料学会木質材料部門委員会業績賞
授賞理由


授賞対象者 :ヤマハリビングテック株式会社  伊藤 弘和 氏

授賞研究課題:高充填セルロース系素材/プラスチック複合体の特性

伊藤氏は,木質系素材と熱可塑性プラスチックの複合材(混練型WPC: Wood Plastic Composite)の開発研究に携わり,木質系素材高充填の混練型WPCにおいて主に以下の重要な知見を提供した。
・混練型WPCにおける木質系素材の絡み合い等の相互による効果を明らかにするとともに,これらの相互作用を評価する手法としてコーンレオメーターを用いる方法を確立した。
・混練型WPCにおける木質系素材の相互作用と流動特性との相関を明らかにした。
・凝集しやすい繊維系木質素材の凝集を防止した分散技術を確立し,この技術を元来混連型WPCに利用できなかったMDF廃材に応用するとともに,混練型WPC成型体に悪影響を及ぼす接着剤気化成分を除去する技術も確立し,実用化に至った。
このような基礎的解析ならびにその応用研究を行った点でその業績を高く評価できる。
 なお、授賞の対象となった業績は下記の通りである。


(1) 伊藤弘和,服部英広,岡本忠,高谷政広,「MDF廃材を用いた混練型ウッドプラスチックの特性」,木材工業,第64巻,第6号,P268,2009
(2) 伊藤弘和,服部英広,岡本忠,高谷政広,「高充填セルロース系素材/プラスチック複合体の特性」,材料,第58巻,第4号,P292,2009
(3) 伊藤弘和,Rashmi Kumari,高谷政広,服部英広,岡本忠,「Viscoelastic Evaluation of Effect of Fiber Size and Composition on Cellulose-Polypropylene Composite of High Filler Content」,Polymer Eng. Sci.,48,P168,2008
(4) Rashmi Kumari,伊藤弘和,高谷政広,内山実穂,服部英広,岡本忠,「Fundamental Studies on Wood/Plastic Composites: Effect of Composition and Cellulose Dimension on the Properties on Cellulose/PP composite」,J. Wood Sci.,53,6,P470,2007
以上

平成21年9月11日
日本材料学会木質部門委員会
委員長 岡本 忠