第235回 木質材料部門委員会定例研究会
日 時:平成11年 7月23日(金)
場 所:京都大学木質科学研究所 木質ホール3階
内 容:
   Cellular Solidsとしての木材の収縮と弾性
                京都大学木質科学研究所 物性制御分野 渡辺宇外 氏
 
 木材は、複合構造体であると同時に、セル構造体(Cellular Solid)でもあります。 木材中の種々の複合構造と物性の関係については、複合材料分野における理 解析手法の確立により、かなり解明されてきました。それに対して、木材のセル構造と物性の関係については、研究報告が少なく、理論的にはほとんど明らかになっていません。本講演では、針葉樹材仮道管の横断面形状のモデル化と、そ のモデルを用いた収縮率とヤング率の解析について、これまでに得られた成果を紹介したいと思います。
 

   セルロースからの生分解性プラスチック
            京都大学大学院農学研究科森林科学専攻 吉岡まり子 氏  
  
 セルロース誘導体の中で最も大量に生産され安価であるセルロースアセテート (CA)は、置換度2.8までのものについて生分解性であるとこれまでに報告されて きている。 本研究では低分子可塑剤の添加や高分子とのブレンドによる問題点を考慮し た上で、新規な可塑化法として、CAの残存水酸基に高効率的にグラフト側鎖を導入することを試みた。その結果、極めて短時間に100%に近いグラフト効率で、良好な成形加工性を有するCAプラスチックを得た。